56本ある流入河川をとおして放射性物質が霞ヶ浦に向かって移動している状況が予測され、これを早急に阻止しないと取り返しの付かないことになってしまいます。
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霞ヶ浦の保全と防災に関する緊急の要望
茨城県知事 橋本 昌 様
2012年1月31日
NPO法人アサザ基金
代表理事 飯島 博
昨年発生した震災や原発事故により霞ヶ浦も大きな影響を受けています。とりわけ現在は、流域全体に降下した放射性物質の湖への移動と蓄積や湖周辺での液状化現象等が懸念されています。迅速な対応を要望します。
先頃発表された東京湾の現況調査によれば、東京湾に流入する河川内や河口部に放射性物質が蓄積している箇所が見つかり、流域から徐々に湾内へと放射性物質が移動している実態が明らかになっています。この状況が放置されると、数年後に湾内の汚染がピークに達することが予測されています。
霞ヶ浦は東京湾より以上に閉鎖性が高く、その閉鎖性は常陸川水門(逆水門)の閉鎖以降さらに高くなっています。このような状況で、流域に降下した放射性物質が56本の流入河川を通して徐々に移動し湖に集積することで汚染が進めば、今後水道水の利用等が困難になるなど取り返しのつかない事態が生じる恐れがあります。なんとしても避けなければなりません。しかし、後で示すように早急に対策を講じることでこのような事態を未然に防ぐことは可能です。
さらに、現在霞ヶ浦を管理する国土交通省霞ヶ浦河川事務所は、水位を上昇する管理を行うために逆水門の放流量を減らしており、これにより湖の閉鎖性をさらに高めることで、湖内での放射性物質の蓄積を助長させています。
また、この水位上昇管理は、震災による堤防破損の復旧していない中で行われています。茨城県南部を含む広範囲の直下型地震は4年間以内に高い確率で起きると予測されている状況では、極めて危険な無謀な行為と言わざるを得ません。高水位時に地震が起き、破堤した場合には甚大な被害が予測されます。
次に、国交省霞ヶ浦河川事務所が実施している水位上昇管理(高水位管理)は、湖の周辺地域の地下水位を高めることで、液状化現象の発生リスクを高め被害を拡大、甚大化させる恐れがあります。特に農業による地下水の汲み上げ量が減少する非灌漑期10月〜3月は地下水位が通常でも高くなるため、この期間に湖水位を上昇させることは危険です。実際に、以前からこの期間に実施された湖の水位上昇管理時には、湖周辺各地の農地で地下水が滲み出る現象が起きたり、今回の震災で液状化被害が大きかった潮来市ではアヤメ園の地下水位上昇によってアヤメの根腐れが起きたため対策が講じられた事例があります。
水位上昇管理は、今から50年以上も前の水需要予測に基づく計画(霞ヶ浦開発事業の運用によりそれまでより30㎝水位を上昇させる)によって実施されているものですが、現在では計画策定当初の水需要予測を大きく下回り水余りが生じている状況です。このように水需要に余裕がある中で、敢えて震災被害のリスクを高める恐れのある水位上昇管理を継続する必要はありません。
以上の理由から、私どもは茨城県に対して、県民の命と健康、生活そして自然環境を守るために、以下の項目を早急に実施されるよう要望を致します。
1.
流入河川56本の全域での放射性物質の分布状況について詳細な調査を早急に実施すること(雨水調整池を含む。)
2.
上記の調査結果を速やかに公表すること。
3.
河川および河口等において放射性物質の蓄積が確認された箇所での除染(浚渫等)を早急に実施し湖への放射性物質の流入集積を防止すること。
4.
霞ヶ浦を管理する霞ヶ浦河川事務所に対して、逆水門の放流回数を増やし湖水の滞留時間を減らし流動性を増す管理を実施し、湖内への放射性物質の蓄積を防止する措置をとるよう申し入れること。
5.
霞ヶ浦河川事務所に対して、湖内での放射性物質の蓄積を助長する恐れがあり、直下型地震によって破堤や液状化が生じ甚大な被害を及ぼす恐れのある水位上昇管理を中止するよう申し入れること。
6.
上記の措置を早急に進めると共に、放射性物質に対する対策の長期計画と、流域レベルでの市民と行政との恊働による長期モニタリング体制を、市民参加のもとに作成すること。
以上、6項目について、2月15日までに文書にてご回答ください。
連絡先 〒300−1233 茨城県牛久市栄町 6−387
(2月10日以降)〒300−1222 牛久市南 3−4−21
でんわ 029−871−7166
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