2011年8月21日日曜日

放射能汚染と土壌の簡単まとめ

8/1筑波大 田村 憲司 准教授講演(つくば市認定農業者協議会)及び8/10日本土壌肥料学会公開シンポより
     放射性セシウム(以下セシウム)は、アルカリ金属でナトリウムやカリウムと同じような一価の陽イオンとして挙動し、マイナスの土壌に引きつけられて土壌表面に留まる。特に粘土鉱物のシート間に固着される傾向が強い。そのため、土壌深くへは移動しにくい。
     セシウムは、酸性土壌では固着されにくいが、黒ボク土では然程遊離しないとの研究もある。
     土壌から作物へのセシウムの移行については、酸性土壌やカリ不足の土壌の方が移行しやすい。そのため、カリウムの施肥やペーハー調整が有効。逆にアンモニウム塩系の肥料は、移行を助長する恐れがある。
     低濃度汚染地域(つくば市など)では、ヒマワリなどによるファイトレメディエーションによるセシウムの吸着(ヒマワリは根に溜まるらしい)は、濃縮された放射能に対するその後の管理が難しいので、勧められない。根などに濃縮された放射能は穴などに埋めて数十年間は厳重管理が必要。
     今後は、水脈を通した下流域への汚染拡大も問題となる。茨城では霞ヶ浦の底の泥や用水の質への監視も必要。
     農業従事者の被曝については、土埃の吸引による内部被曝を避けたほうが良い。また、傷口などからも内部に入り込むので、注意が必要。